2010年11月3日水曜日

造形力とは何か

めぐみ

描写力・構成力・表現力から見た細部と全体について
    



造形力は描写力・構成力・表現力から成り立つと仮定し、細部と全体のような具体例を通して造形の本質を考察してみました。
たとえば、顔のデッサンをしていくと目や鼻を描く時期がきます。いわゆる細部を描く時です。具体的に目を描いていく時、頭部のどの位置にあたるのか、あたりをつけます。そして、目尻の線を描く時、目尻以外を見て感じながら、目尻を描きます。描いた後、目尻が全体の流れの中におさまっているか確認します。細部は全体の流れの中におさまってこそ全体が強くなり細部も生きてきます。そして、完成度のあるデッサンになっていきます。
このように一般的に描写力は物を写実的に再現する力を意味し、立体感・構造感・材質感・空間感・光の方向・空気感などをいかに表すかが課題となります。
構成力は平面では画面構成、立体では空間構成を意味します。いかに全体の形と色を統一して強く組み立てるかが課題となります。
色と形の造形的な統一感(構成力)を基準にして見ると、具象も抽象も同じで、統一感がある作品とない作品とにわかれます。統一感があると細部が全体の流れの中におさまって全体が強くなり細部も生きており、完成度のある作品です。統一感がない場合は初発の感動にもどり、何が必要なのかを探すと、どこをどう変えるか自然に答えが出てきます。ただ色と形の造形的な統一感を得る方法はひとつではありません。多くの人がいるようにたくさんの方法があります、そして多くの完成度があるのでしょう。
たとえば、いくら目をていねいに描いても前述したようには正しい位置におさまっていない時は完成度があがりませんが、恐怖感を表現するために目を正しい位置にわざと描かない場合があります。その時は画面の他の部分も一般的な描写とは違ってくるでしょう。恐怖感を通り越した美しさを表すために画面が統一された時、完成度のある作品になります。
表現力は美しいと感じたイメージをいかに素材に定着させるかが課題となり、表現する人がイメージと素材を闘わせながら作品に何を表したいのか、を練りこんでいくことです。
たとえば、鉛筆で人物画を描いている時、鉛筆の粒子が画用紙にどうつけられると美しいか、自分の求めているイメージにより近いかを試行しながら制作します。鉛筆を立てて描く線と寝かせて描く線は違います。筆圧が強い線と弱い線、太い線と細い線も違います。
鉛筆を塗った後、手でこすったのと布でこすったのとも違います。その時どきに引かれるイメージをこめた線、画用紙に入り込むその粒子ひとつひとつの細部が呼吸しているように全体が感じる作品こそ完成度のある作品です。
これらを造形力として考えると、具象絵画・彫刻の場合は描写力・構成力・表現力のそれぞれお互いが影響し合い細部と全体という具体的課題を克服し高い完成度へ向かいます。

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